妻のへそくりも相続財産になってしまう?!『夫婦の財産』の考え方とは?(第16回コラム)

相続申告では妻のへそくりは夫の相続財産として申告する必要があります

女性の方にとっては不本意なことと思われますが、とくに専業主婦の方のへそくりは、例えそれが妻名義の預金になっていたとしても法律上は夫の財産であると考えられています。そのため、夫の相続が発生したときには妻のへそくりも相続税の課税対象になってしまいます。このことを知らずに夫名義の預金だけを申告しているケースが多く、後々の税務調査で指摘を受けて本来の相続税に加えペナルティーとして余計な税金を払わされるケースが多くあります。

資金の出処は夫であるが、へそくりなどにより妻名義になっている預金のことを名義預金といい、名義預金は相続税の税務調査において最も重点的に調査される対象になっています。したがって、相続申告では妻名義の預金が名義預金に該当するかどうかの精査がとても重要になります。

 

法律上の『夫婦の財産』の考え方とは?

なぜ、妻のへそくりが妻の財産ではなく、夫の財産となるのでしょうか?それは民法762条に『夫婦がそれぞれの名前で取得した財産はその取得した夫又は妻の個人財産である』と規定されているからです。つまり、法律上は夫が外で働いて得た収入は夫の財産であり、いくら妻が家事や育児などをしていても収入は夫婦共有の財産ではないということです。(普通に考えると不公平な話ですが、この矛盾は離婚のときの財産分与や相続のときの配偶者の相続権で救済されています。)したがって、お金の出処が夫名義の収入であればいくら妻がへそくりで自分名義の預金にしていてもそれは夫の財産になります。

 

法律上の『贈与成立の要件』とは?

民法549条において『贈与とは財産をあげる人ともらう人の両者に「あげました」「もらいました」という意思表示があり、もらった人が「自分で管理・運用・使用」している事実が必要である』と規定されています。したがって、夫に内緒で貯めた妻のへそくりは妻には「もらいました」という意思があったとしても、夫が「あげました」という意思がなければ法律上の贈与には該当しません。つまり、税務署は上記民法762条とこの規定を根拠に申告漏れを指摘してくるのです。

 

へそくりではなくきちんと贈与を受けた証拠を残しておきましょう!

配偶者は相続申告においては配偶者軽減の規定により、適正に申告していれば法定相続分か1億6千万円のいづれか大きい金額までは相続税がかかりません。しかし、配偶者による相続財産の隠ぺいがあるとこの有利な規定が使えなくなります。また、重加算税の対象になってしますと余計な税金が大幅に増える場合もあります。

いざ相続になってから慌てないためにも、へそくりなどではなく、家事や育児の正当な対価分として、税務的にも認められる正しい贈与をしてその証拠を残しておくことが重要です。

また、すでに貯めたへそくりはどうすればよいかとお悩みの方は個別に弊事務所にご相談されることをおすすめいたします。