不動産賃貸業を法人化していれば経営セーフティ共済を節税に活用できます。(第14回コラム)
経営セーフティ共済とは?
経営セーフティ共済は正式名称を「中小企業倒産防止共済」といい、国が出資している機構(中小企業基盤整備機構)が運営する共済制度の一つです。この制度は法人や個人事業主が掛け金を納めていれば、取引先が倒産した場合には、その掛け金総額の10倍までの金額を無担保・無保証で貸付が受けられる制度です。掛け金は毎月20万円が上限で総額800万円まで掛けることができます。(月額5千円から20万円まで選択可能)平成23年10月から上限額が総額320万円から総額800万円へと大幅に引き上げられました。
経営セーフティ共済が節税になる!?
この経営セーフティ共済がなぜ節税に使えるかというと、それは掛け金を全額損金に算入できるからです。しかも、掛け金は40カ月以上かけ続けると任意で解約した場合でも掛けた金額の100%が返ってきます。つまり、節税をしながら実質的に貯金をしていることになります。ただし、掛け金を費用として処理しているので、解約をした場合には解約返戻金を収入として計上しなければなりません。つまり、そのままでは課税を繰り延べしているに過ぎません。しかし、退職金の支払いや大規模な修繕費の支出などがあった場合に解約をすれば、それらの費用と相殺されるため課税されることはありません。
この制度の対象は法人と個人事業者です。個人事業者の場合、事業所得は対象ですが、不動産所得は対象になりません。しかし、法人の場合はすべて対象になるので、不動産賃貸業を法人化していれば活用できます。
解約時期を自由に選択できるメリット
課税を繰り延べる対策としてはよく生命保険が使われます。しかし、生命保険を使った対策には解約返戻金にピークがあるので解約する時期が制限されます。つまり、生命保険の加入時において退職金の支払い時期と解約返戻金のピークを合わせる必要があります。もし、ピーク時に解約をしなければその後は解約返戻金が減っていき、最後はゼロになってしまいます。これに対し、経営セーフティ共済は解約時期を任意で決められます。解約せずにそのままにしておいても解約返戻金が減って無くなることはありません。したがって、修繕などで資金が必要になるときに解約するなど、解約時期を自由に選べるといった点では生命保険より使い勝手の良い節税対策になります。