相続した土地を売却するなら3年以内が有利です!(第11回コラム)
土地の売却益から相続税が控除できます(相続税の取得費加算)
相続した土地を相続税の申告期限から3年以内に売却した場合には、売却益に課税される所得税を減額することができます。つまり、譲渡所得の計算において、その相続の際に課税された相続税を取得費(経費)として控除することができます。しかも、控除できる相続税は売却した土地に課税された相続税だけでなく、相続したすべての土地に課税された相続税であるため、所得税がゼロになるケースもあり特に有利な規定になっています。したがって、相続した土地を売却する計画があり、かつその土地に含み益がある場合には相続税の申告期限から3年以内が有利です。
相続税の取得費加算の効果
1.相続財産及び相続税額
相続財産:A土地1億円(購入価格1,000万円)
B土地1億円
C土地1億円
その他1億円
合計4億円
相続税額:1億円
2.A土地を売却した場合に控除できる相続税額
相続税額1億円×(ABC土地合計3億円÷相続財産合計4億円)=7,500万円
※売却したA土地に対応する相続税だけでなく売却していないB土地及びC土地に対応する
相続税も対象になります。
3.A土地を1億円で売却した場合の所得税額(住民税含む)
(1)3年超で売却した場合(相続税の取得費加算の適用無)
(1億円-1,000万円)×20%=1,800万円
(2)3年以内に売却した場合(相続税の取得費加算の適用有)
(1億円-1,000万円-7,500万円)×20%=300万円
(3)所得税の減額効果
(1)-(2)=1,500万円
そろそろ改正される!?
相続税の取得費加算の特例は平成24年にすでに会計検査院から財務大臣に対して見直しするように指摘がなされています。平成25年度では税制改正がされなかったので本年中の売却については現行の規定のまま適用可能です。
相続した株式を売却した場合もこの特例は適用できますが、売却した株式に対応する相続税のみ取得費に加算できます。税制改正されると土地についても取得費加算の対象は売却した土地に対応する相続税のみになるでしょう。