相続税申告で損をしないために注意すべき点は?
Q:相続税申告をする必要があります。基礎控除額などある程度は相続税の計算方法を知っていますが、相続申告をする上で最も注意すべき点は何でしょうか?
A:申告後の税務調査における修正申告のペナルティーや土地の過大評価など相続申告で損をしないために以下の点にご注意ください。
税務署は被相続人の遺産を名義だけで判断していません!
遺産を漏れなく申告するのは当たり前に感じられると思いますが、国税庁の資料によれば、相続申告では申告後の税務調査で80%以上が申告漏れを指摘されています。そのうち申告漏れが最も多い財産は現金や預貯金です。それでは現金や預貯金の申告漏れが多いのはなぜでしょうか?その原因のひとつは被相続人の遺産として申告をすべき現金や預貯金の範囲について誤りがあるからです。被相続人の遺産として申告をすべき財産は被相続人名義の財産だけとは限りません。例えば、申告すべき財産には預貯金口座の名義は配偶者や子などの家族名義になっているが、その預貯金の管理状況や資金の出処などから真の所有者は被相続人と判断すべきものがあります。税務署は税務調査においてこのような財産の申告漏れを指摘します。この認識がないと申告漏れを指摘されたときに「被相続人の財産は漏れなく申告しているはずなのになぜ?」と『寝耳に水』になってしまいます。
申告漏れが指摘され、修正申告になると、本来支払うべき税金に加え、ペナルティーも発生します。このような事態にならないために相続税申告する際は被相続人と相続人の生涯の収支がそれぞれの財産額に見合っているかまた過去に預貯金口座の家族間取引が無かったかなどを詳しく検証して遺産の範囲を確定させる必要があります。また、その結果、遺産ではないと判断した家族名義の預貯金についてはその判断の根拠となる書類を作成しておくことも重要です。
参考ページ 『妻のへそくりも相続財産になってしまう?!「夫婦の財産」の考え方とは?』(第16回コラム)
適正に土地を評価しないと必要以上に高い税金を払うことになります!
相続申告では土地は路線価に基づいて評価しますが、形が不整形であったり、建築法令上の制限がある場合などは土地の評価を減額することができます。この減額要因は多岐にわたるため、相続に精通していないと、見落としてしまう可能性があります。万一、これらの減額要因を見落として土地を高く評価したまま申告してしまうと本来支払う税額より高い相続税を払うことになってしまいます。通常、土地の評価額は高額になることが多いので、この過大評価によって納めすぎる相続税額が何百万円や何千万円にもなるケースがあります。しかも、相続税を納め過ぎていても税務署の方からそれを教えてくれることはありませんので、高い税金を払ったままになってしまうのです。以上のことから、相続申告では土地の評価が特に重要だと言えます。
参考ページ『土地(宅地)の評価方法』(相続税に関するQ&A)
『広大地の評価』(相続税に関するQ&A)
相続に強い税理士に依頼することが大切!
上記のことを踏まえて相続申告で損をしないためには相続に強い税理士に依頼することが大切です。