不動産所得の節税に『小規模企業共済制度』を活用しましょう!(第9回コラム)
『小規模企業共済』で退職金を準備する
『小規模企業共済』という共済制度があります。この共済制度は小規模企業の個人事業主または会社の役員の方が事業をやめたり、退職した場合に備え、退職金を積み立てしておく制度です。この『小規模企業共済』は小規模企業共済法という法律に基づく制度であり、国が全額出資する独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営しています。
掛金月額は1,000円~70,000円の範囲内(500円単位)で自由に選べ、加入後に掛金を増額・減額することも可能です。
共済の加入資格があるのは?
この共済制度に加入できる人は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員です。さらに、個人事業主の場合は共同経営者も含まれます。(個人事業主1人につき2人まで)
したがって、不動産賃貸経営の個人事業主の方や不動産賃貸経営を法人化している場合の役員の方であれば加入することができます。
ただし、個人事業主でも給与所得者で副業的に不動産賃貸経営をしている場合は対象外になります。
最大のメリット、共済掛金は全額所得控除ができるのです!!
退職金準備制度の『小規模企業共済』が節税に使えるのは、毎月支払う共済掛金が確定申告や年末調整においてその全額を所得控除できるからです。つまり、全額必要経費になるのとほぼ同じことを意味します。したがって節税をしながら積立貯金をしていることになり、このような節税金融商品は他にありません。所得税は超過累進税率です。不動産所得に対して適用される税率が高ければ高いほど節税効果も大きくなります。例えば、課税所得が900万円以上の方の場合、所得税と住民税の税率は合計43%になりますので、掛金月額7万円(年額84万円)で年361,200円の節税になります。
共済金はどんなときに受け取れるのか?
共済金は廃業時や退職時又は死亡時に受け取ることができます。満期はありません。また、65歳以上で180か月以上掛金を納付している場合には老齢給付を受けることもできます。ただし、受取事由により共済金の額は異なります。
共済金の税務上の取扱は?
受取った共済金は退職所得扱いになります。退職所得は税務上、とても優遇されています。退職所得控除額が大きく、なおかつ税率も半分になり有利です。また、死亡時に遺族が受け取れば死亡退職金となり相続税の課税対象になりますが、この場合も退職金の非課税があり、その範囲内であれば課税されません。
解約した場合の取扱は?
解約した場合は掛金納付月数に応じて掛金合計額の80%~120%相当額の解約手当金が戻ってきます。掛金納付月数が240か月(20年)未満の解約の場合は掛金合計額を下回りますので注意が必要です。ただ、掛金は途中で減額ができますので、金銭的に継続が困難な場合には思い切った減額をして契約を継続することも可能かと考えます。