家賃収入の節税対策に法人を活用しましょう!(第5回コラム)
賃貸経営を法人化して上手く活用すると所得税や相続税の節税ができます。
税制は今後も個人課税の強化、法人課税の緩和の傾向が続くと思われます。したがって、賃貸不動産の法人化はこれからの税制の流れに沿った対策であると言えます。
なぜ、法人化すると所得税や相続税の節税ができるのか?
所得税の節税対策
法人が収益不動産を所有すれば家賃収入は法人の収入になります。配偶者や子などが法人の役員に就任して役員報酬を受取れば、家族に家賃収入を分散することができます。家賃収入が分散できれば、親ひとりに集中していた高所得に対する超過累進税率による高税率の適用が緩和できます。
また、家賃収入を不動産所得から給与所得に変えることにより、給与所得控除が使えるため、所得税が節税できます。
さらに、法人契約で生命保険に加入すれば一定の保険料を必要経費にすることもできます。
相続税の節税対策
生前に親の家賃収入を子世代に移すことができるので、現金を贈与するのと同様に、親の相続財産を減少させることができます。
法人で収益不動産を所有する方法は?
賃貸経営を法人化するには、既存の個人名義の建物を法人に売却する方法があります。この場合に注意したいのは建物だけを売却することです。なぜなら、建物を簿価で売却すれば建物の譲渡益は発生しませんが、含み益のある土地(先祖代々の土地や現在より安く買った土地など)を売却すると譲渡所得税が発生するからです。
また、新規に建物を取得する場合には初めから法人で取得すればスムーズに法人化できます。
法人の設立と運営
法人の資本金はいくら必要なのか?
現在は株式会社を設立する際、法律上の資本金の規制はありません。極端な話、1円からでも設立することは可能です。但し、現実的には会社設立時の諸費用などに30万円程度必要ですので、最低その金額以上の資本金は必要です。したがって、法律上、最低資本金制度があったときに比べ、法人設立の金銭的なハードルは低いと言えます。
法人の株主は誰にすればよいか?
賃貸経営を法人化することは株式を通して収益不動産を間接的に所有することを意味します。したがって、親が株主になると法人化する前と同様、親の相続財産になりますので、子が株主になるのが理想的と言えます。
また、複数人で出資すると不動産を共有することと同じことになりますので単独で出資することが理想的です。
法人の役員は誰にすればよいか?
親が役員になり、役員報酬を受け取ると、所得分散の効果が無くなってしまうため、配偶者や子などが役員になるのが理想的と言えます。
法人化のコスト・デメリット
- 法人は赤字でも最低限の税金が発生します。(地方税の均等割り 例:大阪府大阪市の場合年7万円)
- 収益不動産の名義変更による登記費用等が必要です。(登録免許税・不動産取得税など)
- 収益不動産に借入金がある場合はその借換費用(担保の付替え費用など)が必要です。
- 所得税の確定申告と異なり法人の申告には必ず決算書を作成する必要があります。等々
法人化を実行するには専門家に相談されることをおすすめいたします。
法人化するメリットは賃貸事業の規模や収益性、親の年齢などにより変わります。
また、建物の売却価格、地代の設定、借地権課税の問題、相続税評価対策など、法人化を実行するには事前に様々な点からの検討が必要です。