生前贈与はいくらすれば効果的なのか?(第6回コラム)

相続税と贈与税のどちらが有利なのか?

 生前贈与をする場合、基礎控除額(年110万円)以下であれば贈与税はかかりません。しかし、基礎控除額以下の贈与だけでは思うように財産を子世代に移転させることができず、結局、高い相続税を負担することになってしまうケースがあります。

仮にいくらか贈与税を負担したとしても、その負担が将来の相続税額より少ない範囲内であれば、相続より贈与の方が有利だと言えます。そこで生前贈与をより効果的に実行するためには、将来の相続で適用される税率と生前贈与の負担率を比較検討して効果的な贈与額を決定する必要があります。

 

相続税の税率より低い贈与税の負担率とは?

(例)遺産総額1億6,000万円、相続人1人(基礎控除額6,000万円)の場合を考えてみます。

相続税で適用される税率

この場合の課税遺産総額は

1億6,000万円-6,000万円=1億円 となります。

相続税額の計算は超過累進税率なので下記のように相続税率が適用されます。この結果、最も高い相続税の税率は30%になります。 

【相続税額の計算】

法定相続人の取得金額 税率 相続税額
1,000万円以下の部分 10% 1,000万円×10%=100万円
1,000万円超3,000万円以下の部分 15% 2,000万円×15%=300万円
3,000万円超5,000万円以下の部分 20% 2,000万円×20%=400万円
5,000万円超1億円以下の部分 30% 5,000万円×30%=1,500万円
相続税額の総額 2,300万円

 

 贈与税の負担率

例えば、年500万円を贈与した場合の贈与税額は53万円になります。(下記贈与税額早見表参照)この場合の贈与税の負担率は10.6%であり、相続税の税率30%より有利であることがわかります。さらにこの贈与を10年繰り返せば、総額5,000万円の財産を10.6%の負担で次世代に移転させることも可能です。

 

 【贈与税額早見表 】

贈与金額 贈与税額 負担率
110万円 0円 0%
200万円 90,000円 4.5%
300 万円 190,000円 6.3%
400 万円 335,000円 8.4%
500万円 530,000円 10.6%
800万円 1,510,000円 18.9%
1,000万円 2,310,000円 23.1%

 

平成25年度税制改正

 今回の改正では相続税は増税されますが、直系尊属(父母や祖父母)からの贈与については一部贈与税は減税となりますので、計画的に生前贈与をすれば節税効果はより高まると言えます。

 

『子の配偶者』や『孫』への贈与も検討しましょう。

 税法の規定により相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象になってしまいます。(以下『生前贈与加算』という)もちろん生前贈与加算で相続税が課税される場合は支払った贈与税も控除されるため、二重課税で損をすることはありません。しかし、そうなるとせっかく計画的に行った贈与も節税効果がなくなってしまいます。但し、生前贈与加算が適用されるのはその相続又は遺贈により財産を取得した人に限られます。つまり、相続や遺贈により財産を取得しない『嫁』や『孫』への贈与は生前贈与加算の対象とならないので贈与後3年以内に相続が発生しても節税効果がなくなることはありません。

 

まずは相続税額の試算から始めましょう!

効果的な生前贈与をするためには事前の相続税額試算が不可欠です。

生前贈与は早く始めればそれだけ効果が高くなります。早めに相続の専門家に相談されることをおすすめいたします。

『相続税額試算』はこちらへ 

 

 

この記事を書いた人 税理士 和田武史

和田税理士事務所代表
税理士事務所勤務時代から相続業務を中心に携わる。
相続業務の経験はおおよそ 20 年。「顧客が相続に詳しい税理士に直接質問したい」というニーズに応えるために、相続の顧客対応を部下に任せずに自ら行うのがモットー。
他の事務所の説明に納得できない方の相談でも、税理士自らが真剣にお答えします。

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