正しい生前贈与をご存知ですか?節税対策が無駄に終わらないための注意点!(第4回コラム)

現金や預貯金を贈与する場合の注意点

財産を無償でもらった場合には自ら贈与税の申告納付が必要です。
税務署も不動産が贈与された場合には登記情報によりその事実を把握します。ところが現金や預貯金は贈与しても、その時点で贈与の事実が税務署に把握されないケースがあります。現金や預貯金の贈与が明らかになる場合の多くは相続税の調査の時です。よって、過去に行われた無申告贈与が相続の時点で既に時効となっているケースでは贈与税が課税できないことになります。ただし、贈与税が時効となるのはあくまで贈与の事実がある場合、つまり、民法上の贈与であることが前提になります。また、毎年、親が子名義の預金口座に110万円以内で資金移動を繰り返していたとしても、それが民法上の贈与に該当しなければ、親の相続財産となってしまいます。したがって相続税の調査においては、過去の資金移動が民法上の贈与として成立しているか否かを厳しくチェックされることになります。

 

民法上の贈与の方法とは

民法549条に贈与の規定があります。その規定による贈与成立の条件は以下のとおりです。

 1.贈与者に「あげました」という意思表示があること。

 2.受贈者に「もらいました」という認識があること。

 3.受贈者がもらった財産を自分自身で管理・運用・使用していること。

 

 したがって、節税対策として実行した生前贈与を民法上の贈与として税務当局に認めさせるには、上記の3つの条件をすべて満たしていることを立証する必要があります。

その具体的手法例は以下のとおりです。

 ・贈与契約書を贈与者と受贈者の自筆により作成する。

 ・受贈者の筆跡で贈与税の申告・納税をする。

 ・預貯金の入出金伝票などは名義人が自署する。 

   ・贈与を受けた預貯金口座のお金を受贈者自らが使う。等々

 

よって、単に『配偶者名義にしてある』や『子・孫名義にしてある』だけでは贈与ではありませんのでご注意を。

 

これまで行ってきた生前贈与の検証をおすすめいたします。

 法律上の正しい贈与ではなく、世間一般的な手法で行ってきた贈与では、後々、相続税の調査で問題とされる危険性が高いといえます。そうなるとせっかくの節税対策も水の泡となりかねません。過去に行った贈与が民法上の贈与になっていないと思われる場合は再度、正しく贈与をやり直すことをおすすめいたします。

この記事を書いた人 税理士 和田武史

和田税理士事務所代表
税理士事務所勤務時代から相続業務を中心に携わる。
相続業務の経験はおおよそ 20 年。「顧客が相続に詳しい税理士に直接質問したい」というニーズに応えるために、相続の顧客対応を部下に任せずに自ら行うのがモットー。
他の事務所の説明に納得できない方の相談でも、税理士自らが真剣にお答えします。

無料相談のご予約

フリーダイヤル(携帯・PHSでもどうぞ)

0120-34-7109

無料相談電話受付 平日・土曜9:30~18:00

面談時間 平日・土日祝日9:30~21:00対応(要予約)

24時間受付

ページトップへ