“相続争い”は資産家のはなしでしょう・・・というのは本当なのか?(第3回コラム)

うちは揉めるほど財産がないから大丈夫!・・・?

「うちは揉めるほど財産がないから相続なんて心配ない」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。しかし、相続争いが起こるのは本当に財産の多寡に関係しているのでしょうか?

 実際は、土地や家屋などの分けにくい財産が大半を占め、現預金や有価証券などの分けやすい財産が少ない場合に相続争いが起こりやすいようです。したがって、自宅以外に分けるものがない場合などは一般的な家庭でも相続争いにまで発展しているケースが少なくないようです。

 

相続争いの現状

1.近年の遺産分割事件(家事審判・調停)の新受件数の推移

裁判所公表の司法統計によれば、近年、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件は増加傾向にあることがわかります。

  昭和40年 50年 60年 平成8年 20年 21年 22年 23年
件 数 4,120 5,229 6,176 10,194 12,879 13,505 13,597 14,029

平成8年からは1万件を突破し、平成23年は1万4千件を超えています。

相続争いは増加傾向にあり、益々、遺産分割が難しくなってきていることが読み取れます。

 

2.価額別調停成立件数

平成23年の司法統計によれば、遺産分割事件のうち調停が成立したのは7,921件であり、その価額別の内訳は以下のようになっています。

遺産の価額 1千万円以下 5千万円以下 1億円以下 5億円以下 5億円超 算定不能 総数
件 数 2,479 3,584 913 571 41 333 7,921
割合(%) 31.3 45.3 11.5 7.2 0.5 4.2 100.0

 この内訳によれば総数のうち5千万円以下の占める割合が76.6%、そのうち1千万円以下の占める割合が31.3%となっています。したがって相続争いは資産家だけの問題ではなく、一般的な家庭でも起こっていることが読み取れます。

 

相続争いを未然に防止する方法は?

相続が原因で仲の良かった家族にトラブルが発生しないようにするためには事前の準備が必要といえます。

相続トラブルを未然に防止するにはやはり遺言がおすすめです。近年は遺言の作成件数も増加傾向にあります。ただし、遺言の作成にはポイントがいくつかあり、それらを踏まえておかなければいざ相続が発生したときに想いを実現できないばかりか、かえって争いの元になってしまうことも考えられます。したがって遺言は様々な視点から助言ができる専門家に相談しながら作成することをおすすめいたします。

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この記事を書いた人 税理士 和田武史

和田税理士事務所代表
税理士事務所勤務時代から相続業務を中心に携わる。
相続業務の経験はおおよそ 20 年。「顧客が相続に詳しい税理士に直接質問したい」というニーズに応えるために、相続の顧客対応を部下に任せずに自ら行うのがモットー。
他の事務所の説明に納得できない方の相談でも、税理士自らが真剣にお答えします。

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